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いつから必要?子どもに伝える「おうち性教育」



はじめに


自分の子どもに「赤ちゃんはどこから来るの?」と尋ねられた想像をしよう。

ほとんどの方が、答えに詰まってあたふたしている自分の姿をイメージするかもしれない。


あたふたする理由は答えを知らないからじゃなく、答えをどうやって伝えたらいいか分からないからだ。

わたし自身、性的な物事との出会いを振り返ると、唐突で、混乱していて、とても不愉快なものだった。そこには「けがらわしいもの。隠しておかなければならないもの」という感覚がどうしても付きまとう。


電車に乗っていると嫌でも目に入ってくる、水着姿の女性の胸元が大写しになった週刊誌の広告。

友達と河原で遊んでいるときに見つけた、雨に晒されページがぐにゃぐにゃになったエロ本。

お兄ちゃん、お姉ちゃんがいて知識豊富なクラスメイトが、恐ろしげに話してくる性行為の情報。


「性とかセックスってなんだか嫌だ。恐ろしい」と思っているうちに、自分の意図とは裏腹に突然迎える初潮。

驚きや戸惑いを自分の中で処理するだけで精一杯で、親に相談するどころではなかった。

その後、母に知らせなかったことをこっぴどく叱られ、無理やりお赤飯を食べさせられたことは苦い思い出だ。


現代の子どもたちは生まれた瞬間からスマートフォンやPCに囲まれた生活をしていて、性に関する情報の量はもちろん、その質はますます混迷を極めているだろう。


ここからはわたしにもいつか訪れるかもしれない「赤ちゃんはどこから来るの?」の日のために、何を準備しておけばいいか考えてみたい。


①まず自分が正しい知識を得る


2009年にユネスコが作成した『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』には、驚くべきことに性教育の開始年齢が5歳と記載されているらしい。さらに性の多様性や男女平等など幅広いトピックが含まれており、5〜18歳を4つのレベルに分け、それぞれの年齢で知るべき内容を次のように網羅しているという。


レベル1(5〜8歳): 赤ちゃんはどこから来るのかなど

レベル2(9〜12歳): 妊娠の仕組みなど

レベル3(12〜15歳): 妊娠の兆候、胎児の発達と分娩についてなど

レベル4(15〜18+歳): 生殖能力はすべての人にあるわけではないこと、性的欲求は人によって違いがあることなど


これが世界の性教育のスタンダードだと思うと、確かに日本の性教育は遅れている。


子どもに何かを語る前に、まず自分が性に対して「恥ずかしい」「やらしい」という意識を払拭する必要があり、そのためには正しい知識を得ることが必須だ。


学校教育も変わらなければいけない、メディアも変わらなければならない…課題はいろいろあるけれど、まずは自分で学ぶことが今すぐできて、一番手っ取り早い方法ではないだろうか。『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』はアマゾンでも入手可能で、その他おうち性教育に関する本はたくさんある。図書館で本を借りてもいいし、講座などに参加するのも良さそうだ。

遅すぎることはない。「知りたい」と思ったそのときが、自分にとって最適なタイミングだと思う。


②自分を癒す


知識を得るだけでは、おうち性教育を実施するだけの自信が得られないかもしれない。

日本で女性として生きてきた中で無意識のうちに受けた小さな傷や苦労を認め、自分を癒す必要性を感じた。


日本では過激な表紙の週刊誌や広告だけでなく、世間では「モテファッション」「モテメイク」など男性の目線を意識する女性を前提としたキャッチコピーが、まだまだ幅をきかせている。そのような環境で知らず知らずのうちに消費され、必死で適応してきた女性は皆疲れていて、自分が女性であることを祝福するような余裕はない。


女性特有の生理の悩みについても大々的に話すことができず、一人涙してきた人も多いはずだ。

わたし自身も10代、20代の頃は「モテメイク」が似合わないことが悩みだったし、毎月の生理が憂鬱でしかなく、ドラッグストアでナプキンを購入する際にレジの店員さんが男性だと赤面していた。


学生時代、生理痛がひどく体育の授業に参加できない同級生は本当に申し訳なさそうに、消え入りそうな声で男性教諭に「休みます」と伝えていたし、会社員になって生理休暇が付与されても皆「恥ずかしい」と言って使用していなかった。

人生に「もし」は無いが、もし男性も女性の身体について正しい知識を持ち、リスペクトする文化があったら、もし生理を天気の話しみたいに普通にできる環境だったら、しなくて済んだ苦労が数え切れないほどある。


人生に「もし」は無く、受けた傷は消えない。

けれど、その傷を少しずつ癒していくことはできる。

性を含めた自分をまるごと許し、愛し、祝福することができれば、子どもにも誇りを持って話ができると思うのだ。


③語り合う


得た知識をアウトプットしたり、交換できる場があればなお理想的だ。近場で見つからなくても、最近ではオンラインで同じ境遇にいる人ともっと手軽に知り合うことができる。その際はぜひママ友に限らず、パパ友とも積極的に交流したい。性教育は男性側からだけの目線でも、女性側だけからの目線でも完成しない。ユネスコのガイドラインでもLGBTQ+の方など、多様性が強調されている。


また、わたしは子どもの有無も関係ないと思う。子どもがいなくても子どもにわかりやすく説明することが得意な人もいるし、なによりみんな昔は子どもだったのだから。

立場に関わらず大人全員が参加してディスカッションし、一人間として誠実に子どもに伝えるという姿勢は、性教育以前に子どもにとてもいい影響を与えると思う。


④目的を明確にする


これまで日本の学校でも家庭でも性教育が十分に行われてこなかった背景には、性教育が英語教育などに比べて「役に立たない」とカテゴライズされてきたからではないだろうか。

性教育は恥ずかしい、やらしい、というハードルを飛び越えたとしても、そこに一体何の意味があるのか?日本の忙しい大人や子どもは重要視してこなかった。


でも、少し立ち止まって考えてみると、テレビのニュースで子どもの性被害が報道されたり、学校の帰り道の「変なおじさん」には注意しましょう、と注意喚起されたりすることは日常茶飯事だ。

十代で妊娠してしまい、学業や就職の選択肢が大きく限られてしまう少女もいる。

最近ではインターネットを通じて出会った大人からの被害も多い。

子どもが自分で自分の身を守るためにも、性教育で正しい情報を伝えること、最悪の事態が発生した場合の対策や連絡先を伝えることは必須だろう。


わたし自身も自分の暮らす地域で性被害などのサポートがあるのか、電話やチャットですぐ繋がれるのか、などあまりにも知らないことが多い。

ユネスコの作成したガイドラインが重要だと知る一方で、「おうち性教育」まで落とし込むためには、一人一人が緊急の理由、目的を明確に知って、危機感を持つことが第一歩だと思う。


ここまでおうち性教育に関して、自分でもできそうなことを考えてみた。

色々と調べているうちに、同じ境遇にいる人や先輩とぜひ話をしてみたくなった。

子どもの性教育に対するインターネットの害が広く知られているけれど、同じインターネットを利用することで前向きな仲間と出会うこともできるのだ。


また、2021年4月から幼稚園〜大学で「生命(いのち)の安全教育」という新しい取り組みも始まったらしい。

少しずつ、世の中も変わってきている。

これまで蓋をされてきた性教育についてオープンに語る前に、わたし自身を変わりゆく世界に対してオープンにしておきたい。

いつか来るかもしれないその日のために。大切な存在を守り、自分を守るために。

 

参考文献

など。

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